よくある質問 |
研究会に寄せられた質問に対しお答えいたします。
調査方法 |
質問:SH型貫入試験とはなんですか
回答:
SH型貫入試験はサウンディング試験のなかの簡易動的コーン貫入試験のひとつで、表層崩壊を引き起こす可能性の高い潜在すべり面(崩壊深)を把握することを目的として実施します。
SH型貫入試験は、貫入抵抗値(Nd/drop値)を1打撃ごとに計測することを特徴とする動的コーン貫入試験器で、1打撃貫入深度(Nd/drop値)を精密に計測し、Nd/drop値の深度方向への連続的な分布を把握する高精度の貫入試験です。
得られた深度方向の値の変化状況から、貫入抵抗値が小さい深度(弱部)をピンポイントで抽出することにより、試験土層断面に存在する弱部の深度を見いだします。
得られた弱部深度を1つの測線上に連ね示すことで、1つの面としての弱面を把握することで潜在すべり面として示すことができます。
あくまでも動的コーン貫入試験のひとつの試験法ですから、担当技術者の裁量でそのデータ等を有効かつ適切に処理することは言うまでもありません。
調査データの活用 |
質問:潜在すべり面(崩壊深)とはどのような部分を指すのですか
回答:
SH型貫入試験は、1打撃ごとの貫入深度=抵抗値(Nd/drop値)が0.1mmのオーダーで精密に計測できることから、深度方向の連続的な解像度の高い分布図(Nd/drop図)を作成することができます。
1つの測線上でこのような弱部の深度を連ねることで、1つの面としての弱部(弱線)を表現することができ、この弱線を便宜的に「潜在すべり面」と呼んでいます。
表層崩壊は、斜面の土塊のバランスが崩れることで発生しますから、弱部を面的に把握し、その面が現時点において最も崩壊の危険性の高い面、潜在すべり面と判断しているわけです。
潜在すべり面の種類としては、以下のものがあると考えられます。
1)
土塊の滑動力に対して抵抗力が最も弱い部分。
2)
浸透した雨水あるいは地下水が最も流れやすい面、土の密度が最も小さい部分や土層面、また土と岩盤の境界面など。
3)
樹木の根系による土の一体化が及ばなくなる付近の面
4)
過去にすべりが発生した面
表層崩壊は、斜面の土塊のバランスがどこかで崩れ発生するわけですから、土層断面の中の弱部をピックアップし、その面が現時点において最も崩壊の危険性の高いすべり面、潜在すべり面として判断します。
質問:潜在すべり面の判断基準は
SH型貫入試験調査要領には、「1打撃毎グラフによるすべり面の判断基準あり」「表層崩壊すべり面を推定可能」と記載していますが、潜在すべり面(崩壊深)の判断根拠を教えてください。
回答:
平成19年2月のSH型貫入試験調査要領になかで、「1打撃毎グラフによるすべり面の判断基準」「表層崩壊すべり面を推定可能」と記載していることに関して、現時点でこの判断基準を最も的確に議論・評価しているのが、2005年に発表された国総研のレポート(国土技術政策総合研究所資料第261号)です。
このなかでは、豊富な事例から「急傾斜地では地質によらず、すべり面のNd/drop値は10程度であり、Nd/drop値が20以上の層は崩れずに斜面上に残っている」と結論づけています。(国総研HPへ→Link)